医療コラム Vol.2

今日からできる尿失禁対策
–毎日を心地よく過ごすために−

皮膚・排泄ケア認定看護師/岩本 祥子

思いもよらない 尿もれ(尿失禁)を経験したことはありませんか?
尿失禁に悩んでいる方は実は大変多いのですが、恥ずかしさのため誰にも相談できず、仕方がないこととあきらめている方が多いと言われています。


尿失禁には大きくわけて3つの種類があります。


①切迫性尿失禁

我慢することができない強い尿意が急に起こり、トイレまで間に合わずに尿が漏れる


  • 過活動膀胱の症状のひとつ
  • 尿が十分にたまっていないのに、膀胱が勝手に縮んだり過敏な働きをしたりするために起こる
  • 脳梗塞、パーキンソン病、糖尿病などの神経の病気が原因の場合がある

  • <対応>

    ⇒膀胱訓練や飲み薬での治療


    膀胱訓練とは・・・尿意を我慢し、1回の尿量を少しずつ増やす訓練

  • 水分の摂りすぎや、カフェインの摂取を控える
  • トイレに行きやすい場所で過ごす、(トイレに近い部屋など)尿器などの活用

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    ②溢流性尿失禁

    膀胱に大量の残尿があり、あふれて少しずつ尿が漏れる


  • 常に膀胱の中に尿がたまっている状態で、膀胱からあふれ出した尿が少しずつ漏れる
  • 男性では前立腺肥大症など、女性では子宮筋腫などが原因となる
  • 尿路感染症や腎不全の原因となるため、早急に尿が出ない状態を改善する必要がある

  • <対応>

    ⇒飲み薬での治療や、原因に対する治療


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    ③腹圧性尿失禁

    咳やくしゃみ、運動などお腹に力が入った時に尿が漏れる


  • 女性に多く、加齢や妊娠・出産により骨盤底筋が弱まることが原因
  • 男性では前立腺の手術後に起こることが多い
  • そのほか、肥満や便秘も原因となる

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    <対応>

    ⇒骨盤底筋体操や手術


  • 体重コントロール、便秘予防
  • 時間立ったまま、重労働、重い物を持つことをなるべく避ける

  • 骨盤底筋はどこにあるの?

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    今日からできる!尿失禁対策

    尿失禁は日常生活のちょっとした工夫でも改善を期待することができます。

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    その他に

  • 水分の摂りすぎに注意
  • カフェイン(お茶、コーヒーなど)摂取を控えめに
  • 食物繊維を積極的に摂って便秘予防
  • いざというときに対応できるよう着脱しやすい衣類を選ぶ
  • 自分に合った対処方法を身につけ、毎日を心地よく、自分らしく過ごしましょう。