当科では年間1,000件を超える数多くの手術が行われており、良性疾患から悪性腫瘍手術に至るまで幅広く対応しております。とりわけ伝統的に内視鏡手術症例が豊富であり、安全性を重視した低侵襲な手術を心掛けております。当科は腹腔鏡手術を1963年から開始し50年以上の歴史を有し、産婦人科領域に限らず全科でみても内視鏡手術の黎明期から実施している数少ない施設の一つです。さらに1984年に当科で開発された子宮鏡手術については県内県外問わず多数の患者さまの御紹介を頂いております。

産科領域について、当科は地域周産期母子医療センターとして機能しており、新生児内科/NICUと連携して母体搬送受入など、川崎市南部地域の周産期救急の拠点として貢献させていただいております。周産期専門医、超音波専門医が在籍しており、ハイリスク妊娠をはじめ、通常の妊娠分娩管理に関しても、高度な医療を提供できるものと確信しております。

私どもは、地域の女性の皆様のヘルスケア全般にかかわっていきたいと考え、病気を治すだけでなく、患者さんにご満足いただく良質な医療の提供を目指していきたいと考えております。

産科

外来からきめ細やかな健診を行い、患者さま一人一人について妊娠期間を通してサポートし、安全な分娩管理を行い、その後の育児まで支援しております。地域のみなさまが安心してお産ができる環境を整えていきたいと思っております。詳細はお産を希望される方へをご覧ください。

当院ではハイリスク症例に対応するために、分娩予約制をとっております。分娩予約には受診が必要になりますので、妊娠初期にお申し出ください。また、当院での里帰り分娩を希望される方は妊娠初期に一度受診していただき、分娩予約をお願い申し上げます。

婦人科

子宮がんや卵巣がんなどの悪性腫瘍、子宮筋腫や卵巣腫瘍などの良性腫瘍、更年期症状や月経の不調などの内分泌領域、感染症等の婦人科全般を対象としています。経験豊富なスタッフが対応いたしますので、検診や種々の検査、治療の相談、手術についてご相談ください。

腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術は、腹部の非常に小さいきずから腹腔鏡というカメラを入れ、腹腔内を炭酸ガス注入により膨らませ(気腹法)、モニターに映し出された画像を観察しながら、専用の手術機器を用いて遠隔操作で行う手術方法です。当院では1963年に開始され、1990年頃より一般に普及してきました。当院には日本産科婦人科学会腹腔鏡技術認定医が4名、ロボット支援下手術のConsole Surgeon(執刀医資格所有者)が2名在籍しており、近年では良性疾患の手術の8~9割を腹腔鏡下手術などの低侵襲手術で行っています。また、早期子宮体がんの方についても保険適用で腹腔鏡下手術を行っております。腹腔鏡による子宮体がんの手術療法は開腹手術と同様の根治性を保ちつつ、創あとが小さい、入院期間が1週間程度ですむといったメリットがあります。
産科・婦人科

最近ではおなかを切らない腹腔鏡(経腟的腹腔鏡手術:vNOTES)、ロボット支援下手術も導入し、患者様に最適な治療を提案してまいります。

経腟的腹腔鏡手術:vNOTES

vNOTESは腟からアプローチする腹腔鏡手術です。 従来の腹腔鏡下手術は、腹部に4か所の小さいきずから腹腔鏡というカメラを入れ、腹腔内を炭酸ガス注入により膨らませ(気腹法)、モニターに映し出された画像を観察しながら、専用の手術機器を用いて遠隔操作で行う手術方法です。腟の1番奥には子宮頸部がありますが、vNOTESは、その近くの腟壁を少し切ってお腹の中に腹腔鏡や器具を挿入して行う手術となります。海外では2012年頃より開始され、日本においても保険適用の機器が導入され、2020年頃より始まった比較的新しい手術です。最大のメリットは、お腹にきずをつくることなく手術できることで、痛みが少なく、入院日数が短めで社会復帰も早くできる利点があります。
産科・婦人科

ロボット支援下手術

多くの婦人科疾患が腹腔鏡下手術の適応となっていますが、近年では手術支援ロボットを用いたロボット支援下腹腔鏡下手術が普及してきています。ロボットを用いた手術では手ブレのない多関節鉗子を用いるため、精密な操作が可能になる、創の痛みが軽くなる、といったメリットがあります。また、肥満の患者さん、子宮内膜症による癒着がある患者さんにおける有用性も報告されています。手術費用や入院期間は、従来の腹腔鏡下手術と同等です。

当院ではintuitive社のda Vinci Surgical Systemを使用したロボット支援下手術を実施しております。実際には、お腹に6〜12mm程度のきずを通常4〜5カ所つくりますが、手術内容によって数や位置、大きさは異なる場合があります。


産科・婦人科
産科・婦人科

子宮鏡手術

当院では1982年より子宮鏡手術を開始し、粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、中隔子宮、子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群)などについて、おなかを切らない手術を行ってきました。日本産科婦人科学会子宮鏡技術認定医を中心に、経験豊富な医師が担当いたします。過多月経(月経の経血量が多すぎる)でお困りの方は是非ご相談ください。


産科・婦人科

婦人科悪性疾患について

当院では良性腫瘍に対する手術のみならず、婦人科悪性疾患(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣・卵管・腹膜がんなど)に対する診療にも積極的に取り組んでおります。手術療法はもちろん、放射線療法、薬物療法なども含めて適切な集学的治療を提供しています。

子宮頸がんに対しては広汎子宮全摘出術を含む手術療法、同じく根治治療である同時化学放射線療法を、進行卵巣がんや条件を満たす一部の再発卵巣がんに対しては外科・泌尿器科などとの連携のもと、完全切除を目指した拡大手術を積極的に行っております。また、対象となる患者さんには、きずや体の負担が小さくすむ腹腔鏡下手術も実施しています。

近年では婦人科悪性疾患に対する薬物療法は目覚ましい進歩をとげており、従来の殺細胞性の化学療法(抗がん剤)に加えて、がん分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などが使用されるようになっています。当院では最新のエビデンスに基づき、それぞれの患者さんにとって最良の治療を提供します。

外来予定

当科の診察をご希望される際は、まず午前中の初診外来を受診してください。かかりつけ医療機関の診療情報提供書をお持ちの方は、患者総合サポートセンターを通して初診の予約が可能ですので、お問い合わせください。外来は下記スタッフで診療しております。また、専門的な対応のために、手術相談外来、子宮鏡検査外来、ハイリスク妊娠外来、腫瘍のフォローアップ外来、産婦人科遺伝相談外来などの専門外来も設けております。

外来診療担当表