概要
放射線治療科では、御依頼元の先生と連絡を密にとり、院内では各診療科と連携のもとで悪性腫瘍の放射線治療やケロイドの手術後照射を行っています。現場では、医師、放射線治療専任技師、看護師でのチ−ム医療を行っています。また、通常の放射線治療に加えて、定位放射線治療や強度変調放射線治療(IMRT)等の高精度放射線治療を施行しています。
外来診療担当表
放射線治療室
放射線治療とは、がん細胞に放射線を照射してがん細胞を死滅させる治療です。放射線治療は患者さんへの肉体的負担が少なく、しかも形態や機能を温存することが可能で、手術を行わなくてもがんを治すことができる理想的な治療法です。
がんの根治的な治療として用いられるだけでなく、再発に対しても有効になる場合もあります。また、根治的な治療だけでなく、がんによる痛みに対しての緩和的な治療も放射線治療の重要な役割です。
放射線治療装置更新のご案内
2021年8月に放射線治療装置(直線加速器「リニアック」)をリニューアルしました。
正確に位置を合わせるための機能
放射線治療では、目的の部位にのみ十分な放射線を照射し、その周りにある正常な組織へのダメージを最小限にするために、患者様ごとに計画を立てています。
今回導入した装置の新機能によって、より高い精度で治療が可能になりました。
追加された新機能は以下の通りです。
6軸可動の治療寝台
従来機では、照射直前の位置照合画像をもとに最大4軸で位置補正を行っていましたが、新しい治療寝台は最大6軸での位置補正が可能となります。
画像誘導高精度患者位置決めシステム(ExacTrac)
床埋め込み式のX線装置と天吊り式のX線検出器から構成される位置照合システムです。X線画像を撮影し位置照合を行い、得られた画像をもとに専用の赤外線カメラによって照射位置からのずれを6軸で高精度に補正することができます。
体表面誘導患者位置決めシステム(Align RT)
専用の3つの赤外線カメラで患者さんの体表面の情報を検知し、位置照合を行うシステムです。例えば乳房といった体の表面をターゲットとする照射で効果を発揮し、毎回の治療時の姿勢の再現性を高めることができます。
より精度の高い放射線治療が実現可能
強度変調回転照射法(VMAT)
今回導入した強度変調回転照射法(VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy)は、従来行われてきた強度変調放射線治療(IMRT: Intensity Modulated Radiation Therapy)と比べて照射範囲をより細かく制御するため、周囲の正常組織への影響を抑えることができます。また、照射時間の短縮も可能となります。
定位放射線治療
通常の照射よりも高い精度で位置決めを行い、患部の形状に正確に一致させて多方向から放射線を集中させる治療法です。一回で大線量を照射する方法と、数日に分割して照射する方法があり、当院では脳と肺の疾患で定位放射線治療を行っています。
脳の疾患の治療においては、従来機では金属フレームを直接頭蓋骨に固定するなどして治療を行っていました。リニアックの更新に伴って、患者さんごとに頭部専用固定具を作成し頭部の固定を行う方法となり、金属フレームによる固定と比べると患者さんへの負担が大きく軽減できます。
肺の疾患の治療においては、患者さん専用の体幹部の型を作成し、精度よく治療を行います。
どちらの疾患も今回新しく導入された装置や機能を組み合わせることで、より高精度な定位放射線治療を行うことができます。
快適な治療のための更衣・待合室
車いすのままで入ることができる、広い更衣・待合室を新設しました。照射前後でゆっくりお仕度できます。
責任者
放射線治療科部長 栗林 徹