概念・方針

当科では以前より脊椎脊髄外科・上肢の外科・下肢の外科で専門の医師からなるチームを編成し、専門的な治療を提供するよう取り組んでまいりました。平成26年4月からはより高度で専門的な治療を提供するために,整形外科内に肩関節外科センター,手肘外科センター,関節機能再建・人工関節センターを設立しました。そして、令和5年4月からは脊椎脊髄病センターを設立し、幅広い患者さんに対しての高度な治療に尽力します。

なお当院の初診は紹介制となっておりますので,紹介状を持参して来院していただきますようにお願いいたします.また,再診も予約制となっておりますので,ご了承ください。

外来診療担当表

診療科・センター

脊椎脊髄病センター

当センターでは3名の日本脊椎脊髄病学会認定指導医を中心にチームを組んで脊椎・脊髄疾患に対して専門的な治療を行っております。脊椎・脊髄疾患による耐え難い首や腰の痛み・手足の痛みや痺れ・麻痺・歩行障害などでお困りの患者さんは、是非当センターの専門医師の外来におかかり下さい。丁寧な診察と、MRI・CT・動態レントゲン撮影・脊髄造影・神経根造影・椎間板造影・神経伝導速度検査・針筋電図・骨塩定量検査などの様々な検査を組み合わせ、患者さんそれぞれの病態解明に努めます。また当院は総合病院であるため、各診療科と連携することで関節リウマチや人工透析、糖尿病などの様々な病態を抱えた患者さんにも対応が可能です。

治療法は内服薬や外用薬、装具、ブロック注射などの手術以外の保存治療を第一に考えます。また高齢患者さんの多くが抱えている骨粗鬆症の治療にも同時に取り組んでおります。しかしながら保存治療では十分な効果が得られない場合や、手足の麻痺・歩行障害・排尿や排便の麻痺などの緊急性の高い症状がある場合は手術が必要になります。当センターではより安全でかつ患者さんの身体的な負担が少ない最小侵襲手術も積極的に行なっており、各患者さんの病態にあった適切な手術法をご提案しております。

脊椎脊髄病センターで扱う主な疾患

  • 頚椎疾患:頚椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、頚椎症性筋萎縮症、頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)、環軸椎亜脱臼、首下がり病など
  • 胸椎疾患:胸椎椎間板ヘルニア、胸椎後縦靱帯骨化症(OPLL)、胸椎黄色靭帯骨化症など
  • 腰椎疾患:腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎変性すべり症、腰椎分離すべり症、腰椎変性側弯症、後側弯症など
  • 外傷:骨粗鬆症性椎体骨折、脊椎圧迫骨折、脊椎破裂骨折、脊椎脱臼骨折、脊髄損傷など
  • 腫瘍:脊髄腫瘍、原発性脊椎腫瘍、転移性脊椎腫瘍など
  • 感染:化膿性脊椎炎、化膿性椎間板炎、結核性脊椎炎など

脊椎脊髄病センターで行う主な手術法

頚椎片開き式脊柱管拡大術、頚椎選択的椎弓切除術、頚椎後方除圧固定術、頚椎前方除圧固定術、頚椎人工椎間板置換術、胸椎椎弓切除術、胸椎後方除圧固定術、腰椎棘突起縦割式椎弓形成術、腰椎椎間板ヘルニア摘出術、内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術(MED)、腰椎後方椎体間固定術(PLIF)、低侵襲椎体間固定術(MIS-TLIF)、側方進入椎体間固定術(XLIF・OLIF)、経皮的椎体形成術(BKP・VBS)、最小侵襲脊椎安定術(MISt)、胸腰椎前方固定術、後側弯症変形矯正固定術、椎間板内酵素注入療法など

当院で行っている最小侵襲脊椎安定術(MISt)が、平成27年2月5日の読売新聞の夕刊に掲載されました。

主な手術件数

  2019年度 2020年度 2021年度
頚椎手術 77 54 52
胸椎手術 26 22 11
腰椎手術 183 182 201
総数 286 258 264

肩関節外科センター

瀬戸医師を中心に肩関節、肩鎖関節に関連した疾患を治療致します。腱板断裂に対する関節鏡を使った腱板修復術、変形性肩関節症、関節リウマチが原因で起きる肩関節症に対する人工肩関節置換術、肩の脱臼に対する関節鏡手術、肩鎖関節脱臼に対する靭帯再建術などを行っています。また、上腕骨頸部骨折には重症度に応じて、人工骨頭置換術を行います。

恐れ入りますが、受診の際には紹介状をお持ち下さい。

手肘外科センター

三戸医師を中心に慶應義塾大学整形外科学教室およびその関連病院で手肘外科の豊富な経験を積んだ医師と手肘の手術の後療法に精通したハンドセラピストでチームを組んで、手肘の骨折、屈筋腱断裂、神経断裂、末梢神経障害、リウマチ性障害、スポーツ障害の手肘の幅広い疾患に対して常に高いレベルの専門的な治療を提供できるよう取り組んでいます。

手は繊細で複雑な構造を持っているため、手肘の治療は手肘の専門的な知識と技術を有している医師から受けることが大切です。当院は日本手外科学会研修施設(外部サイト)に認定されており、毎年400例以上の手肘の手術を行っておりますので、手肘の怪我や病気でお困りの方は他の病院におかかりでセカンドオピニオンを希望される方は是非、当科の手肘専門の医師の外来受診お勧めします。

手肘外科センターで扱う代表的疾患

  • 橈骨遠位端骨折
  • 舟状骨骨折
  • 屈筋腱断裂
  • 手根管症候群
  • 肘部管症候群
  • キーンベック病
  • TFCC損傷

関節機能再建・人工関節センター

小宮医師(膝関節)、山口医師(股関節)を中心にチームを組んで下肢疾患に対する人工関節手術、関節鏡視下手術、骨切り術を中心に専門性を高めた医療を提供しております。

人工関節手術(膝、股関節)は主に変形性関節症、関節リウマチや特発性骨壊死に対して行われる手術です。平均寿命が年々延伸し、高齢化社会が加速される今般、よりよく生きるため、要介護状態の予備軍といわれているこれらの疾患に対する人工関節手術の需要は増大の一途をたどっています。当院では高度の専門性を要する人工関節置換術や骨切り術を安心して受けて頂くため、関節機能再建・人工関節センターを設立、手術計画から術後リハビリテーションまで総合病院の長所を生かした系統だったチーム医療により、1日でも早い日常生活復帰を目指しております。また先端技術の導入も積極的に行っており、常に医療レベルの向上に努めております。

膝関節担当 小宮医師より皆様へのメッセージ

日常診療でも頻度の高い変形性膝関節症や特発性骨壊死については一般的な人工膝関節全置換術(TKA)だけではなく、低侵襲で、術後の回復が早い人工膝関節単顆置換術(小さい人工関節; UKA)も当センターでは選択することが可能です。UKAは変形が比較的軽度で痛みが内側または外側に限局したかたに向いており、TKAと比べると低侵襲で、より自然な感触が得られる点が魅力的です。当院では身体にやさしい人工関節手術を実現するため、無駆血手術(血流を遮断しない手術)や麻酔科医との協力による痛みの少ない手術(積極的な神経ブロックの導入)にチームでとりくんでいます。骨切り術は下肢機能軸(体重がかかる軸)を変える(O脚をX脚にする)ことで体重負荷をずらし、疼痛軽減を図る手術です。この手術に向くのは人工関節よりは若年で活動性が高く、術後の療養に時間的ゆとりがもてるかたです。最大の魅力は何といっても自己の関節を温存できる点にあるでしょう。また、関節鏡視下手術は半月板の老化(劣化)や滑膜炎に起因する疼痛や関節水腫を少ない侵襲で緩和できる(引き算できる)可能性があります。薬、ヒアルロン酸などの関節内注射やリハビリなどの保存的療法でよくならない膝の痛みや変形(O脚やX脚)があるかたは是非一度ご相談ください。

人工股(こ)関節置換術に関しても人工股(ひざ)関節置換術と同様、患者さまの負担が少ない低侵襲手術を心がけており、早期リハビリによる1日でも早い日常生活復帰を目指しております。