概要
人の骨密度は加齢とともに減少し、特に女性は閉経後に急速に骨密度が減少して骨粗鬆症となることが多いです。骨粗鬆症になると、軽い転倒や重い物を持ち上げる動作、場合によっては日常生活を送るだけで背骨が折れてしまうことがあります。症状として激しい腰痛をきたす他、骨の変形によって神経が圧迫されると脚の痛み・しびれ・麻痺を認めるようになります。治療はまず骨粗鬆症に対する内服や注射などによる治療を患者さんに合わせて選択します。さらにコルセットや鎮痛薬などによる保存治療を行いますが、保存治療の効果が十分でない場合は手術を考慮します。
骨折の場所やタイプによっては、小さな傷から骨折部にセメントを注入することで骨折した椎体を安定化させる『経皮的椎体形成術(BKP・VBS)』を行うことがあります。しかしながら骨折により背骨の安定性が失われた場合や骨折によって神経が圧迫されている場合は、脊椎固定術が必要となります。その場合でも従来よりも小さな傷で極力背中の筋肉を温存することができる『最小侵襲脊椎安定術(MISt)』に積極的に取り組むことで、より安全で早期回復が期待できる手術を行うように心掛けています。