平成元年に川崎区で唯一の心臓血管外科として開設されて以来、川崎市南部地域の中核病院としての役割を担ってまいりました。
心臓手術においては、従来の方法より体への負担が少ない心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)、小さな創のポートアクセス法や胸骨部分切開による低侵襲心臓手術(MICS)等を慶應大学とも連携し、積極的に進めてまいります。また、大動脈血管内治療(胸部/腹部ステントグラフト挿入術)による、低侵襲での大動脈治療を行っております。
関係各科(循環器内科、麻酔科、看護師、臨床工学技士など)と医療チームを作り、各々の患者さん、ご家族にとって最適な治療を提供させていただくよう検討を重ねております。心臓血管外科専門医2名が在席する当科では、安全性を最優先に考え、患者さまに優しい低侵襲な心臓血管手術治療を提供してまいります。
主な対象疾患
心臓血管外科では 1)後天性心疾患、2)成人先天性心疾患、3)大動脈疾患などを対象に外科的治療を行っています。
1)後天性心疾患
虚血性心疾患 狭心症、心筋梗塞、左室破裂など
心臓弁膜症 大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症、細菌性心内膜炎など
不整脈疾患 徐脈性不整脈、心房細動など
2)先天性心疾患 心房中隔欠損症(成人低侵襲手術)など
3)大動脈疾患 急性大動脈解離、胸部大動脈瘤手術など
外来診療担当表
治療方針
- 大動脈瘤手術:ステントグラフト内挿術
以前は大きな開胸を要した人工血管置換術が中心でしたが、脚の付け根(鼠径部)を数センチ切るだけで動脈瘤を治療できるステントグラフト内挿術が本邦でも発展してきました。当院においても、複雑な病変にも可及的に低侵襲な治療をしております。また、大動脈の外科治療全般に対するセカンドオピニオンも随時受け付けております。詳しくは当科外来受付までお問い合わせ下さい。 - 冠状動脈バイパス手術
狭心症にはカテーテルによる治療が多く行われますが、重症の場合には冠動脈バイパス術の適応となります。従来、人工心肺装置を用いて心臓を止めた状態にして行われてきましたが、人工心肺を用いず心拍動下で吻合するオフポンプ冠状動脈バイパス術という低侵襲の手術が本邦で発展してきました。当科では適応を見極めた上で、オフポンプバイパス術を中心に精度の高い手術を施行してまいります。 - 僧帽弁形成術
機械弁を用いた人工弁置換術では、生涯のワーファリン服用が必要となります。そこで機械弁置換を回避するべく、自分の弁を修理し逆流を制御するのが弁形成術です。僧帽弁閉鎖不全症では弁形成術を基本術式としています。 - 小切開(胸骨部分切開)での弁膜症術
弁膜症以外に合併症のない患者さんに対して、従来の半分、8〜10cm程度の創で弁置換術を行う方法です。胸骨を部分的にしか切開しないため、胸郭構造が温存されます。術後の早期社会復帰に貢献できると考えています。
ポートアクセス法による心臓手術は、同治療の多数の経験を有する慶應義塾大学と連携して施行してまいります。
NCD事業について
当院では、一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。当事業に関するご質問はご遠慮なく担当医にお尋ね下さい。
もしくはNCDホームページ(http://www.ncd.or.jp/:外部サイト)をご参照下さい。
責任者
部長 澤藤 誠