疼痛管理

当科は多岐にわたる外科手術に携わっており、担当麻酔科医が術式や患者背景を考慮して麻酔計画を立てています。麻酔計画は朝カンファレンスで麻酔科全体に共有し、検討したうえで、最終決定しています。周術期の疼痛ストレス緩和および早期回復を目的として、区域麻酔を積極的に取り入れています。2023年1月から12月で区域麻酔を用いた症例は2462件あり、脊髄幹麻酔(硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔)は1627件、伝達麻酔は835件でした。指導医・専門医の密な指導の下に豊富な症例を経験することができ、希望によっては日本区域麻酔学会の認定医・指導医を目指すことも可能です。

脊髄幹麻酔

一般消化器外科手術や帝王切開、泌尿器科手術などにおいて硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔を日常的に行っています。近年では併存疾患や合併症等の問題から脊髄幹麻酔を施行しない施設もあるようですが、当科ではリスクベネフィットを考慮して必要な症例に対しては積極的に脊髄幹麻酔を施行しており、周術期の患者さんの負担を軽減し早期回復を図っています。また、豊富な手技経験を得られるため、麻酔科医としての深い知識の習得と技術の研鑽を図ることができます。

末梢神経ブロック

予定・緊急を問わず四肢手術や腹腔鏡手術等に対して末梢神経ブロックを行っています。小児から超高齢者まで年齢層も幅広く、投与する局所麻酔薬の濃度や投与量を調整しながら、超音波装置と神経刺激装置を併用して安全を第一に末梢神経ブロックを施行しています。

集中治療

麻酔科は集中治療部も兼務していて、麻酔科のサブスペシャリティ領域のひとつである集中治療分野も研修することができます。

ICU病床数や症例数、運営形態、教育体制

ICU(Intensive Care Unit)はCCU(Cardiac Care Unit)と病床を分け合いながら運営しておりベッド数は8床です。ICU患者とCCU患者を合わせて年間入室患者数は750~850例で、症例は多岐に渡っています。ICUは高侵襲手術や重症な合併症のある患者の術後管理をするSurgical ICUとしての役割と、院内急変や重症化した患者の集中治療対応をするGeneral ICUとしての役割を担っています。CCU患者は循環器内科メインでの管理ですが、人工呼吸管理を要する場合には麻酔科医も協力しながら診療にあたります。 運営形態は、麻酔科医と主治医の各診療科の医師で協力し相談しながら患者を治療していくOpen ICUです。麻酔科は、得意分野である鎮痛・鎮静管理や人工呼吸管理、循環管理を中心に患者管理の役割を担っています。集中治療専門医を取得した麻酔科医2名が在籍しているため、多角的な視点から知識や思考能力・臨床的判断を習得できます。

毎日のカンファレンスと回診

麻酔科の朝カンファレンスとICU回診(朝回診)でICU入室患者の把握、治療の情報共有を行い、必要に応じて当日の治療方針を議論しています。また夕方にもICU回診(夕回診)を行っており、麻酔科当直医への申し送りや治療方針の確認を行います。日々、このようにICU患者の情報を共有し治療方針を確認することで若手麻酔科医の成長への足掛かりとなるように心がけています。

資格取得について

当院ICUは集中治療科専門研修施設の認定を受けており、集中治療専門医試験受験のための経験症例を集めることができ、その他の受験要項を満たし試験に合格すれば、集中治療専門医資格を取得することができます。

緩和医療

当院はがん診療拠点病院として、地域のがん診療に積極的に関わっています。当科では、緩和ケアチームに加わり、非がん、がん患者さんの疼痛をはじめ、精神的・社会的支援に携わっています。日々の回診と週一回の緩和ケアチーム回診を通じて、他職種と常に連携しながら、患者さんの症状緩和に努めています。

麻酔科医の緩和医療への取り組み

緩和ケアチーム

麻酔科医、内科医、精神科医、看護師、薬剤師、理学療法士など、多職種が協力して患者さんのケアにあたっています。疼痛管理、薬物療法、患者家族支援などにかかわっています。

※臨床経験が7年以上あり緩和医療に興味のある方は、当院での症例を元に、日本緩和医療学会の認定医資格を取得することも可能です。
麻酔科・集中治療部のイメージ

無痛分娩

当院は2023年4月より無痛分娩を開始しました。産婦人科医、助産師と連携をとり、安全を最優先にすることをモットーに取り組んでいます。計画的分娩として硬膜外麻酔による無痛分娩を行っており、初年度の症例数は約50例でした。当科における研修で無痛分娩の麻酔管理を経験することが可能です。