教育方針

当院麻酔科では画一的な麻酔管理ではなく、プロフェッショナルとして各患者さんの健康状態や手術内容に応じた麻酔プランの確立と実施を的確に行うことのできる麻酔科医の養成を目指しています。麻酔中に得られるモニター情報や患者さん自身の全身状態を把握し、最善の“管理”を遂行できる麻酔科医の育成を教育方針として、研修の指導体制と労務環境を整えています。

指導体制

日々の麻酔

当科は施設規模に比して指導医の数が多いのが特長です。様々な経歴と専門性を有する指導医が在籍しており、多角的な視点から密な指導を受けることができます。具体的には、「自分の頭で考え、麻酔および周術期管理を組み立てられるようになること」を目標に、担当症例の術前診察や患者評価、術前指示を自ら行い、それをもとに立てた麻酔計画を指導医と議論します。指導医が麻酔方法を指示したり、決めたりしたことをただ実行するのではなく、指導医と相談して立てた綿密な麻酔計画をもとに、想定されるリスクやその対処を含めて全身管理を行います。また、術後回診を行い、問題があれば対応することで周術期管理を学ぶとともに、自らが施行した麻酔とその後の経過を指導医とともに振り返ります。麻酔科が集中治療室の管理も担っているため、術後に集中治療室に入室した患者の治療にも携わることができます。

(2024年現在)
 日本麻酔科学会認定指導医:6名
 日本専門医機構認定麻酔科専門医:8名(指導医との重複含)
 集中治療専門医:2名
 緩和医療認定医:1名
 医学博士:5名

専門医取得のための特殊症例について

専門医取得に必要な特殊症例の症例数は当院研修期間中に満たすことができます(2024年現在)。また、必要に応じて連携施設へ出向し、特殊症例のさらなる研鑽を積むことも可能です(プログラムに含まれている)。具体的には、都立小児総合医療センター(小児)、川崎幸病院(心臓)、慶應義塾大学病院(移植や心臓カテーテル治療などの先進医療、ICU、ペインクリニック)、済生会横浜市東部病院(心臓)が挙げられます。

麻酔科・集中治療部のイメージ

4年間の専門医プログラムでは主に手術麻酔のトレーニングを積みますが、各自の希望や到達度に応じて、集中治療や無痛分娩、緩和医療など、当科スタッフが従事している業務に参加し、研修を行うこともできます。さらに発展的なサブスペシャリティーの研修を望む場合には、研修の達成度に応じて連携施設への出向も選択できます。

Off the Job Training

麻酔科・集中治療部のイメージ 慶應義塾大学医学部麻酔学教室との連携により、大学医局を通したセミナーに参加することができます。一例を挙げると、豚肺を用いた人工呼吸器のシミュレーションや模型を用いた分離肺換気、中心静脈カテーテル挿入のトレーニングを行うWet-Labに参加しました。

抄読会

2-4週間に1回、朝の症例カンファレンスの前に英文の医学論文(主にランダム化比較試験)の抄読会を行っています。およそ半年に2回程度の頻度で抄読会の担当が回ってきます。担当となった際には、指導医と相談しながら論文を選び、抄読会に向けて準備をします。単に英文和訳をしたり、論文の内容を鵜呑みにしたりするのではなく、科学的な方法論に基づいた批判的な論文の読み方を指導しています。

抄読会の論文リスト 一部抜粋
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学会発表指導

専門医取得に必要な学術単位の一つに学会発表があります。例年、日本麻酔科学会 関東甲信越・東京支部の支部学術集会に演題を登録し、ポスター発表をしています。演題の選択や患者さんへの同意取得、抄録の作成、ポスターの作成、発表原稿の作成と練習、予演会、当日の発表と質疑応答を担当の指導医と二人三脚で取り組みます。担当の指導医以外からも適宜支援を受けられます。学会発表の経験がない方にも丁寧に指導しますので安心してください。

麻酔科・集中治療部のイメージ

論文作成

学会発表をした演題を中心に、日々の臨床の中で新たな知見が発見された場合には、積極的に論文作成(英文あるいは日本語)を行っています。

業績一覧について